トルコのEU加盟交渉打ち切り⁉その理由とは?

2017年9月3日にメルケル首相(独)がトルコのEU加盟交渉を打ち切りたいと語り、波紋を広げています。そもそもどうしてそのようなことになったのでしょう?私なりにまとめてみました。


トルコとEUの交渉が進まなかった理由

EUの加盟国の共通点は細かい違いはあれどすべてキリスト教を国教としているという点です。そのため、イスラム教を国教とするトルコとは大きな価値観の隔たりが存在する。こと人権問題に関しては顕著にそれが表れています。

EUはたびたびトルコに人権問題に関しての改善を勧告していました。しかし、それが改善されることはなく、むしろ西洋化しつつあった方針をイスラム教を中心とした政治路線へと切り替えてしまいました。



トルコと日本

トルコは日本が好きだという話を聞いたことがある人は多いでしょう。その理由の一つとして日本は西洋化しないで近代化した国であるということが挙げられます。

西洋化=キリスト教化のことです。

昔はキリスト教の国ばかりがどんどん発展していたことから国が発展するためにはキリスト教になる必要があると考えられていました。そんな中でそうならずに発展を遂げた礼外国こそが我が国日本なのです。それによりキリスト教でなくても発展を遂げた日本に尊敬の意を表し、トルコは日本と仲良くしたいと考えているのです。

しかし、日本も最近EUとEPA・SPA交渉を終えたばかりです。そのため、おそらくEU側の味方に付くことでしょう。それによりトルコがどう感じるかはわかりませんが、これまで通り仲良く荒れることを祈るばかりです。




トルコとドイツの間に何があったのか?

2016年7月15日にトルコで軍の一部が反乱を起こし、クーデター未遂があったのをご存知でしょうか?国会や大統領府が攻撃され、242人が死亡する大事件でした。

トルコは米国に亡命中のギュレン氏を首謀者と断定し、彼の支持者の取り締まりを強化しました。その結果約3万6000人もの公務員や軍人が逮捕されました。さらにはギュレン氏の派閥の報道機関の規制も行って鎮圧を図りました。

この動きはあまりにも性急で独裁的だと欧米からは非難されました。そして、ドイツはギュレンシ派だと疑われて逮捕されそうになっている人々の亡命を手助けしたのです。それによりドイツとトルコの仲は険悪になりました。

元々ドイツで一番多い移民はトルコからの移民でした。それにより街にムスクが出来るなど数年のうちに街の様相が変わり、ドイツ人のトルコ人に対する嫌悪感は元々非常に高かっただけにこの事態はトルコのEU加盟交渉を後退させるには十分でした。

しかし、2017年の3月には欧州になだれ込んできた難民をトルコを経由して送り返すことに同意がなされました。そのことにより、トルコとEUの関係は密接になったかのように思われました。しかし、今年の7月にあった自体がトルコとドイツの中に決定的な亀裂を生みます。

2017年7月、トルコでドイツ人人権活動家が拘束されました。その背景には一年前のクーデター未遂がある。しかし、この問題は非常に難しいことであると言わざるを得ません。クーデター自体はトルコ国内の問題であり、他国が口を出せば内政干渉にあたると私は考えています。その上、一部の行き過ぎた人間が起こした行動により多くの死者と負傷者を出した以上その国の法律で裁かれるべきだと私は考えます。

確かに価値観は我々や欧米とは全く異なるでしょう。しかし、トルコにはトルコのやり方があります。それに口出しをしたがゆえにややこしくなってしまった問題だと私は考えます。


しかし、トルコがEUに加盟するということはこれを受け入れることだという自覚を持たなければなりません。トルコは経済的恩恵に与りたいだけかもしれませんが、こういった法的な部分も共通化させ、EUは国内法として取り入れなければならない部分が数多くあります。そういったことが出来ない以上これ以上の交渉は無意味と考えられても仕方ないでしょう。



まとめ

ドイツはいわばEUのリーダーです。そのドイツとの仲が絶望的である以上、トルコのEUの加盟は難しいと言わざるを得ません。しかし、ドイツの一存でそこまで決まってしまうのではEUは一つの共同体として本当に機能していると言えるのでしょうか。

難民問題に関しても発端はドイツでした。それに反発し、旧東欧の国々は保護主義の動きを強めているのが現状です

。国力に差がある中で一つの共同体をつくるとやはり弱い国々が犠牲にならざるを得ないというのがEUを見ていると見えてきます。

更に国力がある国は経済が弱い国からの移民によって文化や生活圏が侵されていく。そういったEUの現状を見るとEU自体に本当にメリットはあるのかというところまで考えが及ばざるを得ません。

EUに加盟していなくてもシェンゲン協定に加盟しているEEA諸国などもあるように、一部の分野でのみの協力ではやはりだめなのでしょうか。

そう考えるとトルコはEU加盟を諦め、シェンゲン協定に加盟するのが一番得策なように私は考えます。

EUに関するコラム~歴史から時事ニュースまで~

EUや英国の社会保障政策を中心に歴史から時事ネタまで幅広く扱っています

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